2021年4月27日 • 所要時間:約6分

場所を問わずに高いパフォーマンスを達成するチームを育てる

目標、プロセス、限界に向けてエネルギーを投じるパワー

by Rebecca Johnson

多くの場合、グループ作業は一人の仕事より優れた成果をもたらします。でも、ただ単に「コラボレーションする」だけで成果が得られるわけではありません。目的に向かい、団結して働くためにチームを結成するのです。パンデミック以前は、私たちの多くが同じオフィスの同じ場所でチームを作って働いていました。現在、私たちは分散しており、つながりを維持し、働くためにコラボレーションのテクノロジーに依存しています。

同じ空間で働くチーム、バーチャルなチーム、そしてこの2つのスタイルが混在しているチームのいずれであっても、リーダーは高いパフォーマンスを示すチームを育てるための3つの重要な要素にエネルギーを投じる必要があります。その要素とは、目標、プロセス、限界です。適切な構成、リーダーシップとリソースがあれば、チームはありあわせのコラボレーションを超えるほどにまで成果を改善できます。

目標を明確にする
グループとチームの違いのひとつとして、チームには明確に定義され、共有された目標があります。優れたチームにはさまざまなスキルセットを持つメンバーが揃っています。このため、目標を明確にすることで誰もがそれを理解し、同じ成果に向かって取り組むよう徹底できます。

高いパフォーマンスを見せるチームは優先事項の変化を見事に評定し、それに適応します。また、共同での取り組みのために相手との関係を調整し、目的達成のためにリソースを効果的に活用します。よって、複数のチームが相互に相手の情報(専門分野、好ましい仕事の進め方、好ましいコミュニケーションなど)、リソース、目標へのアクセスを必要とします。目標が明確にならないと、チームは労力を無駄にし、メンバー間に無用な重複が生じ、仕事のやり直しが発生し、連携が弱まります。

明確な目標を共有することで、チームがひとつにまとまり、より優れた連携が整います。明確な目標の共有は、チームのアイデンティティと結束に貢献します。チームのエンゲージメントを維持するため、目標には明確さだけでなく、十分な手ごたえを感じさせるほどの難易度が必要です。簡単に達成できる目標はモチベーションにつながりません。また、難しすぎる目標は大きなフラストレーションをもたらすことがあります。このいずれの場合においても、最適な成果は望めません。

チームプロセスの管理
プロセスをしっかりと策定しておき、それを実行すること—例えば、作業の全体的な基準、チームが同意して結束するその他の方法—により、チームの作業をより円滑に進めることができます。多様なスキル、意見、考え方を持つメンバーたちをひとつにまとめることで、イノベーションをもたらす優位性を獲得できることが知られています。しかし、このことによって新たな課題が発生する可能性もあります。チーム開発のタックマンモデルは連携による作業のための重要なプロセスとして定着しています。このモデルは、メンバー間の関係がチームのアウトプットにどのように影響するかに注目します。簡単な概要を説明しましょう。

  • 「形成期」はチームをひとつにまとめる目標を共有することです。この段階では、チームメンバーはお互いを知り、各自のワークスタイルと権限や力関係を明確にします。ここで対立が生じることもあり、それが次の段階を導きます。
  • 「混乱期」では、各メンバーがチーム内での地位を確立しようとし、それに伴って役割面での競争が生じることがあります。この対立に建設的に対応すれば、チームは「統一期」に進みます。
  • 「統一期」では協力体制が根付き、チームメンバーは共有目標達成に向けて力を合わせるようになります。
  • チームのパフォーマンスが最高潮に達し、目標達成に向けて団結して効果的、効率的に活動するようになると、「機能期」が到来します。

優れたスキルをもつリーダーは、心理的に安心できる環境の中で、このプロセスに沿ってチームを導きます。チームメンバーが安心してアイデアを共有し、重大なフィードバックを受けることができなければ、仕事の質が低下します。メンバー間の信頼は、目標達成と超越に不可欠な知識の迅速・効果的な共有、収集、蓄積、創造の要です。これは、「一度やれば終わる」プロセスではありません。メンバーや目標が変われば、多くの場合チームは再度これらの段階を通過することになります。その順序は、必ずしも上記のとおりにはなりません。

限界に対応し、限界を調整する
チームは組織や機能の限界や地理的な境界に組織がどのように対応し、何を優先して対応しているかを見て、目標達成の方法を見出します。さらに、これらの限界は組織におけるリソース(ワークプレイス、ツール、コラボレーションのテクノロジー)の分配に影響します。多くの場合、チームの成果はその交流を反映し、そして交流は認識された境界を反映します。よって、優れたリーダーはチームにとって有利になるようにこれらの境界に対応し、交渉力を発揮して限界を調整します。

特に、COVID-19パンデミックに対応している今こそ、境界とリソースに注意することが重要です。多くのチームがリモートワークを余儀なくされ、コラボレーションのテクノロジーは業務の連携に欠かせない手段になっています。コラボレーションのテクノロジーは進化を続け、その使用においてさらなる没入感を与えています。組織には、遠距離を超えて協力し合うチームが存在しています。これらのことに伴い、分散されたチームワークは引き続き改善されていくでしょう。しかし、多くのチーム活動において、同じ拠点での作業や、空間を共有した作業が引き続き最も有効となっています。 

組織の限界

1.    活動:目標達成のために好ましく、そして必要なコラボレーション活動にはどのようなものがありますか?
2.    アクセス:チームメンバー以外の人は、チームとその活動にどれほど容易にアクセスできるようにすべきですか?

機能の限界

3.    人物:チームメンバーは組織のどの部分を代表していますか? 
4.    期間:複数の目標と継続的なタスクにずっと取り組むチームですか、それともある特定のプロジェクトが終わると解散するチームですか?

地理的な境界

5.    場所:チームメンバーは完全に分散していますか、それとも部分的に分散していますか、あるいは空間を共有して作業していますか?
6.    活動の時期:多くの場合に同時に活動する(同期)チームですか、それとも別々の時間に活動する(非同期)チームですか?

限界はチームのリソースや活動を妨げることがありますが、これらを保護することもあります。チームメンバーがコラボレーションに適切なテクノロジーと、テクノロジーの活用を可能とする適切な、チームのニーズに合ったワークプレイスの両方にアクセスできる未来が想定されます。どのような作業をいつ、どこでするかはチームごとに異なります。

下のリストは、ワークプレイスのリソースについての検討事項と、仕事の限界に対応し、限界を調整するためにチームに役立つコラボレーションのテクノロジーをまとめたものです。

ワークプレイスデザインの検討事項
組織の限界

活動:どのようなチームも、情報を伝達し、つながり、考え、実行します。好ましいある特定の形のコラボレーションをいつも選ぶことができますが、すべてのチームがある程度はさまざまな形のコラボレーションに対応することになります。文化が変われば、好ましい形も変化します。
アクセス:関係の近さと障壁によってアクセスの度合い(公私の別、分離・絶縁の有無)を管理します。

機能の限界

人物:ブランディング、チーム固有のツール、収納はチームとメンバー両方のアイデンティティを示します。
期間:什器と機器はずっと配備されるものもあれば、柔軟に使用されるものもあります。

地理的な境界

場所:チーム全員に対応し、その同期活動のために最適な条件を与えます。
活動の時期:同期(同時)活動の頻度と長さは、ワークプレイスがチーム専用になるか、それとも共有スペースになるかを示します。

コラボレーションテクノロジーの機能
組織の限界

活動:チームコンテンツの一回の共有体験で適切な量の情報を伝達する能力です。
アクセス:チームのコンテンツへのアクセスを管理するため、さまざまなパーミッション(アクセス権限)を付与します。

機能の限界

人物:複数の考え方の発案者をトラッキングする機能です。
期間:コンテンツと活動の不定記録を作成します。記録には、個人用デバイスやチームが共有するデバイスでアクセスします。

地理的な境界

場所:物理的な距離によるギャップを解消します。
活動の時期:同期活動と非同期活動の連携を整えます。

チームが生産するものはメンバーがどのように交流しているかを反映します。そして交流は限界とリソースの影響を受けます。目指す目標達成のための最高のパフォーマンスを得るために必要なものをチームに与えます。 

基本的に、高いパフォーマンスを示すチームは、効果的な協働の方法を既に取得しています。このようなチームには強い結束が見られ、目標を達成し、超越するために相互に、迅速に、効果的に協力できる、相互に依拠する人材が存在します。

最高の仕事ができるよう高いパフォーマンスを示すチームを適切に管理するには、目標を明確に示し、チームとしての発展と機能を可能とする安全な空間を与え、仕事の場所や方法にかかわらず適切なリソースを与えるために交渉力を発揮して限界を巧みに調整することが推奨されます。

コラボレーション、従業員のエンゲージメント、柔軟性/適応力、その他の関連トピックについての詳細は、ヘイワースのResearchページをご確認ください。 

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