2025年6月3日 • 所要時間:約3分

記憶が鍵、感情が扉 

nendo代表・佐藤オオキ氏とデザインについて考える

by Alex Przybyla

ポケモンとのコラボレーションからEXPO 2025 大阪・関西万博の日本館まで、東京とミラノを拠点に活動するnendoは、遊び心と奥深さを兼ね備えた作品を特徴とするデザインオフィスです。2002年に佐藤オオキ氏を中心に設立されたnendoは、斬新さ、軽さ、直感的な機能性をバランスよく兼ね備えた思慮深いデザインで世界的に高い評価を得ています。 

nendoが軸とするデザイン哲学は、Cappelliniのためにデザインした作品群にも見事に表現されています。Peg Chairは、「ミラノの街を気軽に走り回る」かわいい車が発想源となりました。Thin Black Tableは、nendoのミニマリズムながらも遊び心を感じられるスタイルを体現しています。TassTumuベースは、空間に洗練とモジュール性をもたらす作品です。

オフィス名「nendo」は、形や色を無限に変える「粘土」に由来し、柔軟で適応性があり、常に自由な発想で、硬直的でも自己中心的でもないnendoのデザイン哲学を体現しています。nendoは外、内、そしてその間を見つめ、すべての生物間の流動的なつながりを常に意識しています。その結果として生み出されるデザインの多くは見る人に熟考を促すものであり、そしてほとんどの場合、私たちを笑顔にしてくれます。 

ミラノ・デザイン・ウィーク中、佐藤氏が時間を割いて「Design & Memory(デザインと記憶)」について彼の考えや感じ方を記してくれた事は、胸が高まる喜びでした。 

記憶やノスタルジアは、nendoのデザインにおいてどのような役割を果たしていると思いますか? 

「記憶は、とても重要な役割を担っています。具体的な記憶に焦点を当てるより、広く共有された記憶、つまり多くの人が共通して持つ経験の方により焦点を置いています。 

こうした記憶、つまり万人が持つような経験、あるいは既視感をデザインに取り入れることで、ユーザーの心に響き、感情を揺さぶるものが生み出せると思っています。記憶を『鍵』、感情を『扉』と捉えるといいでしょう。適正な『鍵』を使うことで、『扉』を開くことができる、ということです。」

素材と感情はどのように繋がっていると思いますか? 

「感情に働きかける重要な要素は、色、素材、形の3つだと思っています。この3つの要素を優先させ、バランス良く取り込むことで感情を動かすデザインを目指しています。」

感情的なインパクトを念頭に置いて、それに合う素材を探しますか、それとも素材から始めて、感情的なインパクトについては解釈の余地を残しますか? 

「間違いなく、前者です。まず感情的な価値を生み出すストーリーを構想し、それに最適な色、素材、形、技法を考えます。それはまるでパズルのピースをはめ合わせていくような、非常に論理的なプロセスです。」

 


TassTumuは、nendoがCappelliniのためにデザインしたモジュール式の新しいフラワーベースです。 

素材と製作技術の両方において、過去の記憶はどのようにこれら両方の未来を向上させることができると思いますか? 

「過去の素材やテクノロジーを進化させ、未来に引き継いでいくためには最先端の技術を活用することが不可欠だと考えています。それと同時に、そのようなテクノロジーのコラボレーションは日常生活に先進技術をよりシームレスに統合するのにも役立つと思います。」

素材の観点で、nendoが最近特に取り組んでいるものは何ですか? また、近い将来に取り組んでみたい新素材はありますか? 

「まだ最終的な制作はできていませんが、木や石といった自然素材が持つ表情や価値を、金属や樹脂といった工業素材に落とし込めないかを模索しているところです。ここ数年間、毎日のように実験を行っています。どのような作品ができるか、楽しみにしていただけたらと思います。」

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