2024年9月10日 • 所要時間:約5分

ミツバチと美とバイオフィリア

エコロジーとは – Claudia Zanfi氏のビデオインタビュー

by Alex Przybyla

バイオフィリアは、世界中のワークプレイス内で身近な話題となりました。建築家、インテリアデザイナー、そして製品メーカーとして、私たちが常に問い続けているのは、「ワークプレイスは、私たちと外の自然界とのつながりを強く、深くするために、どのように貢献することができるのか?」そして「外の世界をオフィス内へと取り入れるにはどうすればよいのか?」という問いです。 

Claudia Zanfi氏は、この問いに関連する複数のアイデアを持っています。Zanfi氏をご紹介する前に、まずは彼女が強い関心を傾ける「蜂」について詳しく見てみましょう。

ミツバチは食糧や蓄えとなるものを探す達人です。ミツバチ以外の花粉媒介者(送粉者)は食糧源の特定に特化していますが、ミツバチは陽気な美食家で、大自然の中を食べ歩きするかのように自然界の様々な場所から花蜜や花粉を集めます。そして彼らがバラエティ豊かな花々から集めたものはグループプロジェクトとも呼べる共有の場所へと集められ、コミュニティ全体に利益をもたらします。

Claudia Zanfi氏はこの点に深く共感しています。彼女は蜂の巣のような無数の規律の中にデザインインスピレーションを見つけてきました。Zanfi氏はデザインエキスパートの他に、美術史家、 写真アーカイブ『BILL OWENS』のキュレター、非営利団体GREEN ISLAND MILANOのディレクター、ガーデンデザイナー・植物コンサルタント、ミラノとロンドンにある大学の客員教授、SWARM創設者、写真家・アーティスト・デザイナー・植物学者など多様な分野にわたって活躍する女性グループの一員、そして養蜂家など、様々な顔を持っています。 

こうした多岐にわたる経験は、人間と自然との対話におけるユニークな見解を彼女にもたらしました。ワークプレイスにさらに多くの自然を取り入れる方法を追い求めている私たちにとって、Zanfi氏はまさにインスピレーションの巣と呼べる存在です。

私たちは彼女のインスタレーション作品である『SECRET GARDEN』を訪れ、蜂やデザイン、人間と自然間の対話についてお話を伺いました。  

インスタレーション『SECRET GARDEN』

ミラノのポルタ・ガリバルディ駅構内にGREEN ISLANDによって設置された『SECRET GARDEN』 (ポルタ・ガリバルディ駅の近くには、都市内の緑化プロジェクトの名高いシンボルであり、イタロ・カルヴィーノの小説から部分的に着想を得たアイコニックなボスコ・ヴェルティカーレタワーが位置しています。)

GREEN ISLANDのディレクターを20年以上にわたって務めるZanfi氏は、都市コミュニティと自然の対話を刺激するツールとして、インスタレーションやエキシビション、アートプロジェクトを活用してきました。

彼女によって紐解かれる数十年にわたる両者の対話は、ワークプレイスに活用することができるインサイトをもたらしています。そしてその対話を的確に捉えるシンボルとなったのは、謙虚な働き者、世界中の庭を訪れるミツバチです。 

生き、暮らす場所への愛。私たちの庭から得たインスピレーション

「特に夢中になっているもの、と言うよりも、私が個人的な愛着を感じているものは、ガーデニングです」とZanfi氏は語ります。「ガーデニングデザイナーとして、私はガーデニングデザインの修士課程を学びました。それ以来、美術史士となった今でも、庭に大切なものはなんだろう?花に大切なものとは一体なんだろう?と、深くさらに深くと検証し続けています。」

私たちの周りに広がる自然を近くでよく見るという哲学は、身近なバイオフィリックインスピレーションを得ることができる機会にあふれています。すぐ目の前にあるものを見過ごしてしまう経験は、誰にでもあることでしょう。Zanfi氏は自身の経験によって、「興味深い」蜂たちの世界へと目を向けられるようになったと言います。

「花粉媒介者とは、最も重要な役割を持つ昆虫や動物であり、私たちを取り巻くすべてにとって重要な存在です。果物、野菜、木、植物、花。本当にすべてのものにとって」とZanfi氏は語ります。

バイオフィリック哲学はその発端以来、こうした身の回りや地域を大切にするという考えを大切にしてきました。生活する場所、働く場所を問わず、インスピレーションは私たちの周りにあふれています。それは自宅にある庭 (都会に住む人々にとっては、窓際においた植木鉢やバルコニーの家庭菜園)であっても変わりません。

こうした地域の雰囲気やイメージは、オフィスに地域特有の植物を使用したり、その土地の地形からインスパイアされたデコレーションや郷土史とのつながりを思慮深い形で表現する抽象的な要素を取り入れることで表現することができるかもしれません。あるいは、Zanfi氏がインタビュー内で示唆したように、周囲の環境から直接得たカラーパレットを使用することによって、空間はさりげない形で地元地域を取り入れることができるのでしょう。 

 

バイオフィリアのゴールとは、人々に美をもたらすこと

SECRET GARDENが掲げている目標とは、すれ違うすべての人に「美しさを返す」というとてもシンプルなものです。「これは私たちの目だけではなく、魂にとっても極めて興味深いものです。なぜなら、私たちは自分の周りにある美しさを目にした時、それがどんなに小さなものであろうと、その美しさは私たちの心の奥深くに響くからです。」(Zanfi氏)

美しさとバイオフィリアは深く結びついています。轟音を立てる滝の前に立ったり、元気よく咲く小さな花を目にしたり、オフィス内の青々としたカシワバゴムノキの葉を眺めたりと、自然とは、その出会い方を問わず私たちに多くの感嘆をもたらすことができます。

蜂たちの世界は、Zanfi氏に深い敬意を芽生えさせました。「とても興味深く、魅惑的なんです。その完全性は本当に素晴らしい」と、Zanfi氏。「驚くほど完璧な世界なんです。」

蜂に対する深い畏敬の念は、彼女自身が想像さえしなかった製品コラボレーションの機会へと彼女を導きました。

 

自然と協力し、アート作品を創造する

「Atelier del Paesaggioと呼ばれる、私が共同設立したグループと一緒にアンティークの花瓶や前世紀始めの花瓶を集め、その花瓶を蜂の巣の中に置き、蜂たちがその周りに巣を作れるようにしました。」(Zanfi氏)

これはつまりSECRET GARDENは異種間のアートインスタレーションであり、人間と蜂のコラボレーション作品であると言えます。その概念から見てみると、花瓶はオブジェとしてそれ自体が美しい作品ですが、まだ未完成なのです。

「蜂たちの作業、つまりこのコラボレーションとなる作業部分は、まだ完成していません。蜂たちは次第に空間を完全に満たしたり、新しい構造を作り上げることができるでしょう。蜂たちは素晴らしい建築家です。サグラダ・ファミリアを生み出したガウディも、蜂の巣からインスパイアを受けていました。

本当に、素晴らしい世界なんです」とZanfi氏は語りました。

ワークプレイス内のバイオフィリアは、例えば蜂たちの作業によって飾られた花瓶のような、自然によって生み出されたプロジェクトを取り入れることができるかもしれません。さらには地域に流れ着いた流木や地元で作られた陶器、あるいは地元でできた閃電岩(落雷によって砂浜の一部が高温で溶け、固まったガラス質の岩石)もその候補となるかもしれません。 

バイオフィリック哲学は、誰もが生まれながらに持つ自然への熱望を示唆しており、この強い感情はオフィスにいる時でも変わりません。ワークプレイスのバイオフィリアは、人々を自然界の美しさへとつなげ、私たちのウェルビーイングやインスピレーション、生産性を促進してくれます。 

Zanfi氏が体現してくださったように、私たちはあえてインスピレーションを探す必要はありません。私たちの周囲の環境からインスパイアされたバイオフィリアには、地元地域の植物や物、地元風景の色彩などが含まれるのかもしれません。   

今後携わるプロジェクト内容を問わず、Zanfi氏は人々がより広い世界とつながる方法を見つけるサポートとなり、「人間やその他の存在、例えば蜂のような存在との対話」をさらに展開してくれることでしょう。 

クリエイティブな考え方の探究

プロフェッショナルから学ぶ。シーズン2では、今日の優れたデザイナーたちが「人間主体の未来」を始めに、「世界的なメガトレンドの終わり」、「人類と自然との対話」などのコンセプトについて考察します。

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