カスタマーストーリー カルガリー大学 - MacKimmie Complex

1966年創立のカルガリー大学は、カナダを代表するトップ5の研究大学のひとつです。現在当大学では、エネルギー効率に優れたMacKimmie Complex(マッキミー・コンプレックス)が併設されたメインキャンパスを始めとする5つのキャンパス内で、34,000名もの学生が学びを深めています。さらにカルガリー大学は、カナダでは初めてとなる高等教育・学習の促進にのみ焦点を置いた建物や、International Microbiome Center(国際マイクロバイオームセンター)、北米で最も高度な技術が導入された図書館を有する場所でもあります。当大学は250以上のカリキュラムを展開し、学士課程の定着率95パーセントという素晴らしい成果をあげています。

ロケーション

カナダ、アルバータ州、カルガリー

プロジェクト仕様

学生数:500
スタッフ数:1300
プロジェクトサイズ:35.3961平方メートル
ゼロカーボンビルディング認証取得
LEED認証取得目標

デザイン会社

Dialog Design

ディーラーパートナー

HBI - Heritage Business Interiors, Calgary

カルガリーキャンパスの再開発

MacKimmie Complexの再開発は、野心そのものを体現したような壮大なプロジェクトで、1970年に建設されたタワーの外観をエネルギー効率性に優れたダブルスキン(二重窓構造)外装に改修し、13階建てから15階建てへと拡張しました。また、このタワーに隣接する1963年建造のMacKimmie Blockも現代的な4フロア構造へと建て替え、交流や授業、管理業務を展開するハブ施設として、さらには、Innovation SandboxやHunter Hub for Entrepreneurial Thinkingを含むHunter Student Commonsのベースとして機能しています。

現在MacKimmie Complexは、デザイン内でゼロカーボン認証獲得を目指したカナダ初の大学キャンパスプロジェクトです。

学生のニーズを最優先に考慮した空間

新たに4階建てのHunter Student Commonsを構想した際、キャンパスリーダーは学生体験に焦点を当て、特に入学希望者にフォーカスして計画を開始しました。Commonsは、印象的な橋などのデザインを始め、生き生きとした学生生活のエネルギーや自然光あふれるアトリウムで、訪れるすべての人を歓迎するハブ施設として機能しています。

また、アトリウム内のメインフロアに位置する共用エリアは、実家などから遠く離れて勉学に励む学生たちが第2の故郷のように感じられる空間を目指して設計されており、友人と集まったり、ランチを持ち寄ったりするたけではなく、交流、グループプロジェクトに向けたコラボレーション、授業間の学習などにも最適な居心地の良い空間となっています。

Commonsは、授業やイノベーションにも使用されています。個々のバックグラウンドを問わずあらゆる学生を受け入れるこの空間は、メンバーの一員としての意識・感覚を促進することができます。例えば、ジェンダーニュートラルなお手洗いのサインには、「みんなのお手洗い」と表示されており、よりインクルーシブな施設を実現すると同時に、男女別のお手洗いで生じる不必要な待ち時間を解消することができます。

2階にあるEnrolment Services(履修登録サービス)には、履修科目登録オフィス、職員室、Prospective Students Hub(新入学生ハブ)が含まれています。このハブは入学希望者を歓迎し、金銭面の相談や卒業要件に関する質問といった学生たちが入学に向けて抱く問いに答えを提供する空間となっており、設置されたラウンジシーティングとワークステーションが、職員と学生のミーティングをサポートしています。

3階のイノベーションあふれるクラスルームは、擬似的なセラピーセッションをより効果的に観察できるように設計されているため、ソーシャルワークを学ぶ学生たちの実践的な学びの機会に貢献しています。

アトリウムは自然光と開放感を全フロアで展開することで優れた空間体験を提供しており、全フロアにわたり設置されたラウンジシーティングとミーティングポイントは、学生たちが自然と集まり、交流できるような空間を提供しています。

起業家精神あふれる学生のためのハブ

Commonsにおいて重要な空間要素であるHunter Hub for Entrepreneurial Thinkingは4階に位置しており、学生たちのイノベーションあふれるアイデアや思考の促進に貢献しています。Hunter Hubは起業家精神、つまり新しい事業の実現などに向けた取り組みに関するポイントを分かりやすく解説し、学生たちやカルガリー近郊の起業家たちがアイデアを育み、ビジネスを構築することができる場所を提供しています。

Hunter Hub内にあるCollision Spaceは、ブレインストーミングやプランニング、コラボレーションなど、多目的で使用可能な空間となっています。柔軟性に優れた空間デザインとなっているため、空間を再構成することで劇場やクラスルーム、ミーティングルーム、80名以上のグループに対応するレセプションスペースとして使用することも可能です。創造性を育む場所として、学生、スタッフ、職員、地域の一般訪問者など、あらゆる方たちがCollision Spaceを使用することができます。

Innovation Sandboxは、カルガリー大学のスタートアップチームのために特別に設計された空間です。ここではコラボレーターが専用のスタートアップデスクに参加したり、オープンキッチンで食事を取ったり、機密情報を含むプライベートミーティングを設けたりすることができます。 

Hunter Hub内のあらゆる場所に用意された共有スペースは、大規模なグループの交流と個人の静かな時間の両方をサポートしています。ミーティングスペースはイベントに活用することができる一方で、空間内を程よく仕切るパーゴラや背もたれの高いシーティングなどの家具を用いることで、大規模なグループミーティング間の休憩時間中にも気兼ねなく会話を楽しむことができるように設計されています。作業集中や機密情報を含む電話、ビデオ会議への参加に適した場所が必要な場合には、アコースティックプライバシーを提供するフリースタンディングのHushブースを活用することができます。

景観・地形修復と自然とのつながり

MacKimmie Complexに隣接するSwann Mallは、忙しない都会環境の中で学生たちに自然とのつながりを提供します。この空間を再デザインするにあたり、この土地を尊重し、修復するための方法を特定すべく、カルガリー大学はTraditional Knowledge Keepersの先覚に相談しました。結果としてキャンパス内のアウトドアスペースは、再びこの地を原産とする食用・薬用植物の生息地となっただけではなく、この土地原産の植物、特に深く根を張るプレーリーグラスを選択することで、よりサステナブルで干ばつに強い地形を生み出すことに成功しました。

また、開放的な窓を建物全体を包み込むように設置することによって、学生たちは屋内からでも自然とのつながりを感じることができるデザインとなりました。

サステナブルなキャンパスデザイン

カルガリー大学MacKimmie Complexの再開発は、建物をネットゼロ認証に準拠するものへと改良・再開発することが可能であることを体現しています。

建物のエネルギー効率の向上を実現する2つの主要要素となっているのは、ダブルスキン建築デザインと、カルガリーに降り注ぐ豊富な太陽光を捉えるソーラーパネルで、その2つを補う3つ目の要素は、暖房と冷房をサポートするガラスとコンクリートです。さらにスマートテクノロジーがリアルタイムでエネルギー消費を監視・管理することができるため、ピーク効率の実現と2050年までにカーボンニュートラルを目指すカルガリー大学の目標の実現に貢献しています。

新しい建物は、カルガリー大学の屋内通路システム内に統合されており、積雪が多く気温が氷点下まで下がる冬にも建物間の快適な移動を実現しています。

Hunter Student Commonsは、建物という概念において大きな変革をもたらす存在となるだけではなく、カルガリー大学を始め、カルガリー全体のイノベーションを促進する存在となることでしょう。

Keri Damen

Hunter Hub for Entrepreneurial Thinking、前エグゼクティブディレクター

使用製品

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