ケーススタディ LinkedIn

LinkedInは世界中に6億6千万人以上のユーザーを持つ、世界最大級のプロフェッショナルネットワークです。世界中のプロフェッショナル達をより効率的かつ成功へと導く方法でつなげるという使命を達成するため、LinkedInは世界的に展開するチームネットワークに頼っています。各チームはLinkedInのビジョンをサポートし、世界中で労働力を提供するメンバーたちに経済的機会を提供できるように努めています。

ロケーション

Sunnyvale, California

プロジェクト仕様

規模:約27,400㎡ ストーリー:占有者数:500 +

理解、実践、発展

LinkedInのリーダーたちは、キャンパス内で利用されていない1101 Maude Ave.のビルをどうするか検討した際に、この建物は従業員をサポートしつつ知識や洞察を得るのに相応しい機会であると捉えました。そして、エンジニアたちのために企業内のWorkplace Design Labとヘイワースとの協力調査から得た新しい知識を利用して、より優れたダイナミックな作業空間の開発に踏み出しました。

特にデザインはエンジニアたちの生産性、連携、幸福度をサポートするものである必要がありました。個人間とチーム間のコラボレーションを促進するデザインが求められていたのです。そして、空間には作業への集中や共同作業を行う方法を自由に選択することができる柔軟性が求められると同時に、その空間は創造性と革新性にインスピレーションを与えるものであり、LinkedInの企業文化と価値を反映するものである必要がありました。

調査 - ニーズの理解の第1段階

ヘイワースのClient Design Studioとのコラボレーションにより、LinkedInは2018年に845 Maude Ave.にWorkplace Design Labをオープンしました。このラボではGlobal Workplace Strategyチームが調査と研究を続け、世界中のLinkedIn従業員のために職場における体験の理解と向上に努めています。制限された環境の中で製品、概念空間、アイデアをテストすることで、チームはデザインソリューションを大規模に投入する前に素早く知識を獲得し、反復し、そして改良することができます。こうした調査や両社のワークプレイスに関する豊富な知識とともに、LinkedInとヘイワースの戦略チームは1101 Maude Ave.にて新たなエンジニアリングスペースのデザインに着手しました。

LinkedInとともにヘイワースは、まずリーダーと従業員にインタビューを行い、エンジニアリングチームの人口統計、典型的な就業日のジャーニーマップ、チームの作業パターンの把握から始めました。その後は現地で観察調査を行い、エンジニアたちの行動パターンや作業スタイルの微妙なニュアンスの違い、そして彼ら特有の空間の中での変化を起こすことの意味は何かなどについて観察しました。この調査によって得られた結果は、LinkedInのエンジニアリングチームが抱えるユニークなニーズに応えるために、その後のオフィスデザインに活かされました。

ダイナミックなチームゾーン

調査を通して発見した重要なポイントは、エンジニアリングチームは「近隣」という状況下で勤務しており、それぞれ最高50名、2、3の異なるチームが連携して作業にあたっているということです。こうした局所的な近隣システムの中で、エンジニアたちは個人での作業とチームでの作業との素早い切り替えが可能になる柔軟性とコントロールを求めていました。

これに対するソリューションは、エンジニアたちがすでに作業している区域内で異なるアクティビティをサポートするため、素早く再設置することが可能な可動式のホワイトボード、デスク、デジタルスクリーン、イーゼルを搭載したダイナミックチームゾーンを生み出すことでした。チームが共同で問題に取り込む必要がある際には、ひとつの大型スクリーンを全員で見ることができる補助的なスペース内に集まることができます。問題解決を目的とした集まりが終了したら、可動式のコンポーネントは再設置され、各自個人のワークステーションに戻ってそれぞれの作業に集中することができます。区域はそれぞれチームに属しているため、一日の間に何度か再構成されることがありますが、ホワイトボードは複雑な課題に取り組んでいる間は、数日間または数週間そのままにしておくこともできます。

多様なアクティビティをサポートする空間

LinkedInのエンジニアの作業方法やスタイルのすべてを、一か所でサポートできるスペースは存在しません。個人のワークプレイスやダイナミックチームゾーンの他にも、複数のタイプの空間が従業員の作業と休憩をサポートし、息抜きやちょっとした遊びや楽しみを提供しています。これにより、従業員は建物内を広く移動するようになり、多様性とより多く移動する機会を得ることでひとつの空間に閉じ込められたような閉鎖感を感じることがなくなりました。

コラボレーションを促進するスペースは、従来型の会議室はもちろん、可動式のホワイトボード等のコンポーネントを使用して、即興的なアイデアの共有ができるようデザインされたインフォーマルな補助的スペースも含みます。こうした柔軟性の高い空間は多目的な使用に最適で、その使用用途は利用する人たちのニーズによって変化します。

この空間は静かなプライベート空間として利用することも可能です。会話が一切行われない図書館は、エンジニアたちに作業への集中を促進するスペースを提供する一方で、くつろぎ、休憩できる空間も提供します。休憩エリアは瞑想や熟考に最適な空間を提供します。会話を自由に楽しめるカフェブースは音響学的な観点からデザインされており、会話のプライバシーを守ります。電話やビデオ会議用にデザインされた電話ブースはプライバシーを守るだけではなく、ブース内では周りの邪魔になることなく会話を続けることができます。

広々とした中央エリアは、大規模な集まりやその他のイベントによく使用されています。劇場式のシーティングを採用した階段は、腰掛けたり、くつろいだり、一対一のミーティングに便利なスペースを提供します。コミュニティとラウンジスペースは多様な作業スタイルと休憩スタイルをサポートします。

ゲームルームとメイカースペースは、創造性と革新性を養うために新たに設置されました。こうしたユニークな遊び心溢れる空間は、従業員の精神的、身体的なギアチェンジを短時間で実現します。時にピンボールゲームや3Dプリンターを使った実験は、LinkedInエンジニアたちが日常の決まりきった習慣から抜け出す最適な方法となることがあります。

喜びの種を加えて

エンジニアリングビルの最も魅力的な要素の一つは、空間そのものが喜びに溢れたものであるということです。LinkedInのリーダーたちは、従業員たちが皆一日に何時間も仕事に打ち込んでいることを認識し、評価しています。リーダーたちは将来の従業員やビジターを含めすべての従業員たちが、企業文化や価値観に沿った空間内で快適に過ごし、つながりを感じてほしいと考えています。

人々を一体化するための方法のひとつにユーモアがあります。壮大な宇宙旅行をベースデザインにしたデコレーション、階段に描かれた圧倒的な存在感を放つ大規模な壁画、楽しい気分にしてくれるビンテージコミックの要素を取り入れた経路表示等。カラフルで目を引くグラフィックが、笑顔や笑いをもたらし、会話を弾ませ、人間関係をより強固にします。

好奇心と未来への入り口

LinkedInが従業員間のつながりを重視していることは、ベストなパフォーマンスを可能にする最高の空間体験 - ウェルビーイングをサポートし、人々が自分の環境を適切に選択かつコントロールできるような空間 - を提供するために、LinkedInがワークプレイスに対して行っている投資に明白に現れています。

Workplace Design Labの初期段階、LinkedInのリーダーがかつてない試みに踏み出した時から、従業員に現在、そして未来にわたってより良いサポートを実現するワークプレイスを発展させることに対して、彼らが深い理解を得るであろうということは明らかでした。エンジニアリングチームのワークプレイスでの継続的な研究の価値は、LinkedInのサニーベールキャンパスをはるかに超えています。それは、世界中のLinkedIn従業員のパフォーマンスを向上させる、未来の柔軟なワークプレイスの設計図を提供しています。

エンジニアリングチームのビルとともにLinkedInが開始した新たな調査研究は、コラボレーションを促進し、従業員に作業スタイルを選ぶ自由を提供する新たな方法の発見へとつながりました。このスペースはニーズが的確かつ適切な瞬間に満たされていくのを感じることができる場所です。また、この新しいビルは、自身の企業価値を実践する雇用主としてLinkedInを際立たせました。柔軟性と順応性の高いワークプレイスを実現するために新しいアプローチを採用することは、企業の学ぶ姿勢、反復と向上を目指し尽力する姿を明確に示し出します。従業員からビジターまで、誰もが何か違うこと、思いもよらないこと、つまり自分だけの何かを経験することができます。これこそが人々の好奇心を刺激する入り口なのです。

「LinkedInでの目標は、世界で一番のワークプレイスを生み出しているのは私たちだと断言できるようになることです。私たちのワークプレイスが一番のオフィス体験を提供し、最高のパフォーマンスをサポートしていると宣言できるようになりたいのです。」

Brett Hautop

LinkedIn、グローバルデザイン・建築シニアディレクター